江戸時代にサイはいたの?わからずにモヤモヤ中②
昨日の続き
サントリー美術館で開催中の「のぞいてびっくり江戸絵画」展の案内に左の「サイ」の絵があった。
この絵を見て、江戸時代にサイがいたのかと思ってびっくりして、ググってみたけど答えがわからずというところまで。
ヤン・ヨンストン『禽獣魚介蟲図譜』
その疑問を同僚の獣医の先生に聞いてみた。獣医なので動物に関係することだから、知っているか調べる手立てを知っているかと思って聞いてみたのだ。さすがプロ。私がググっても出てこなかった資料が出てきた。その絵がこちら。
似ている。獣医の先生は、この絵を模写したのではないかと推理していた。
この絵は、オランダ商館長ヘンドリック・インディックが、1663年に江戸幕府に献上した図鑑に掲載されている。その図鑑とは『禽獣魚介蟲図譜』(1660年アムステルダム刊)。この図鑑が著者はオランダのライデン大学教授ヤン・ヨンストン。略歴は以下のとおり。
ヨンストン【Johannes Jonstons】 1603‐75ポーランド出身の医学者・博物学者。英名John Jonston。プロイセンのトルン、スコットランドのセント・アンドルーズの大学で、植物学と医学を修めた。1640‐55年ライデン大学医学部教授。55年に引退して著述生活に入った。江戸時代、ヨンストンの《鳥獣虫魚図譜》(1660)の蘭訳本が日本に舶来した。幕府の医官・野呂元丈は、通詞の通訳で、この本の内容について質問し、1741年(寛保1)に《阿蘭陀禽獣虫魚図和解(オランダきんじゆうちゆうぎよずわげ)》1冊をつくった。
この図鑑の正確さ、リアリティに驚いた人々が、後に「蘭学」と呼ばれる新しい学問を生みだすことになったらしい。
図鑑について
印刷博物館:コレクション探訪/ヨンストン「禽獣魚介蟲図譜」
ヤン・ヨンストン『禽獣魚介蟲図譜』個人コレクション
デューラーのサイ
この図鑑の「サイ」を描いたのがデューラーなのだけど、同じく『禽獣魚介蟲図譜』に触れているこのサイト:ヨンストン「禽獣魚介蟲図譜」(1660) | Flickr - Photo Sharing!
にはこう書いてある。
デューラーはその絵の作成にあたり伝聞で動物の特徴を描いただけで実際は見たことがなかった。現実に実在する動物と架空の動物が混ざって描かれている。また当時の日本人が全ての動物を知るはずもないので、このような描写方法で何処までをフィクションとして何処からをノンフィクションとして捕らえていたのか気になる。
それは私も気になる。続きはまた次回…